INTERVIEW
地域と人を豊かにするために
佐賀県 九州ブロック
田中 裕一郎
Yuichiro Tanaka
私は33歳の時に父が他界し、その後を引き継ぐかたちで社長に就任しました。経営のことも金銭的なものも全くわからないまま事業に着手。売り上げも落ち込む中、商工会青年部のアドバイスから得たのは、他ならぬ経営者の資質と覚悟でした。そこを入口に自分磨きをし、出口とした考え方は、父の意思だった「社員は家族。家族を大切にすると会社は発展し、地域に貢献できる」。つまり地域の人を豊かにする仕事であるかどうかでした。
商工会青年部では、実行委員に始まり毎月の例会を運営し組織作りを行ったり。商工会青年部は居心地のいい場所で、私にとっては会社経営のプレッシャーから逃れ、社長としての孤独から逃れる場であったにもかかわらず、次第に仲間もでき、自分のアイデアや発想力が磨かれ、それを評価してくれる集団だったことが有り難かった。また商売人としての覚悟を身につけることができ、私を確実に成長させてくれました。
経営者としての資質を磨く中で、私が意識してきたものは、「仲間」であり「人」です。商工会青年部での仲間との繋がりはかけがえのないもので、そのことを通してさらに新しい情報やアイデアが生まれていきます。私は人付き合いが好きだったので、みんなとディスカッションをする中で、自分はこうしたい、という思いを毎回強めていきました。
例えば会社が経営不振に陥った時、銀行に何と言われようと、「社員の給料は絶対落とさない」と決めました。そして原価を見直し、“商売は儲けないといけない”という目標を社員全員で達成していく。こうした意識づけがはっきり出来たのも、商工会青年部と仲間がいたからこそ。現在は筆頭という責任ある立場になりましたが、特段苦労したという思いはありません。好きなことをひたむきにやる。その結果、助けられたこともあったし、逆に自分が誰かを助ける喜びも感じています。
これからの商工会青年部の目標は、人づくりをすること。輝かしい人を一人でも多くつくりたいと思います。それがワクワクする地域になり、ドキドキする未来になり、新しいものはそこから生まれます。そのために、一人一人が意識を持って考えていれば、自然に輝くものです。そんな大人を見た子どもはどうでしょう。世界を豊かにすると私は思います。人づくりの核は、まず自分です。一人一人が自分を分かること。生まれて来た意味、存在意義、限界のない能力。いろいろな人の意見を素直に聞いて自分を見つめながら、「自分軸」を持って生きていく。そして、自分軸だけではなく、他人と考え方を共有しながら、さらにその軸を増やしていければと考えます。私のスローガンは「器・視野の広さは自分軸」。大人が変わっていかないと子どもも変わりません。情報や便利さは享受しながらも、自ら考えて前へ進むことが必要なのです。