INTERVIEW
縁心力 ~人と地域を活かす力~
大阪府 近畿ブロック
奥 航太朗
Koutaro Oku
能勢町には、時代を超えて受け継がれる自然と文化があります。町のシンボルともいえる野間の大けやきは、その雄大な姿とともに、地域の人々の記憶に根ざしています。また、地元に伝わる人形浄瑠璃は、三味線や語り、人形が一体となった奥深い舞台芸術。こうした文化資源は、地域に誇りを生み出し、人々の心をつなぐ役割を果たしています。
そんな能勢の地で、商工会青年部は「人と人」「人と地域」のつながりを原動力に、日々地域を盛り上げる活動に取り組んでいます。テーマは「縁心力」。縁を心でつなぎ、地域を元気にする力です。
私は能勢町にある「秋鹿酒造」の七代目として、酒造りに取り組んでいます。弊社では、酒造りに必要な米を地域の田んぼで自ら栽培し、その米を使って仕込む「一貫造り」にこだわっています。つまり、米作りから酒造りまでを一手に担い、自然とともにある酒造りを実現しているのです。この取り組みは、単なる製造工程の一部ではなく、地域の田んぼを守るという大きな意味も持っており「地域の田んぼの担い手」としての責任も果たしています。耕作放棄地の増加が問題となる中で、農と酒の両面から地域に貢献する姿勢は、まさに「縁心力」の実践そのものです。
「地域とともにある蔵でありたい」という想いは、青年部の活動とも共通しています。酒を通して地元の魅力を発信し、地元の行事やイベントでは地域の人たちと力を合わせる。酒造りも地域づくりも、根っこにあるのは“人との縁”だと私は考えています。
青年部の代表的な活動のひとつが、夏の地域イベント「よっほいせ」です。この祭りは、夏祭りや花火大会、盆踊りなどを通して住民同士がつながる、地域にとって大切な年中行事となっています。祭りの名前の由来でもある「よっほいせー!」の掛け声とともに、町民が一つの輪になって踊る姿には、世代を超えた絆が感じられます。中でも花火大会は、子どもたちが待ちわびる夏のハイライト。青年部のメンバーが準備から運営まで一丸となって取り組んでおり、来場者の笑顔が活動の何よりの原動力です。
また、青年部では地域の若手や外部のボランティアと連携しながら、人形浄瑠璃の体験教室や地域清掃活動など、多世代交流の機会も積極的に展開。地域内外の人々との新たなつながりが、より広く、より深く、地域に根づく縁となっています。縁を信じ、人と地域の未来を想うその姿勢こそが、能勢町の新しい力となるはずです。