INTERVIEW
地域と共生
山梨県 関東ブロック
小笠原 総一
Soichi Ogasahara
北に八ヶ岳、南に世界遺産の富士山といった山に囲まれた風光明媚な地域であり、盆地地形で寒暖差が大きいことを利用したぶどう栽培から世界に誇るワインの産地でもある山梨県。そんな山梨県の真ん中に位置するのが私の住む中央市です。かつてはトマト栽培が盛んな農村でしたが、今では住宅街が造成され県庁所在地甲府のベッドタウンとなりました。
そんな私も子供のころにこの土地に引っ越してきたのですが、家業の創業の父に「なぜこの場所に?」と問えば「特に意味はない」と身もふたもない返答。
私もこの時はピンときていませんでした。
青年部に入らなければこの地域について興味を持つこともしなかったでしょう。
今では、地域で仕事をさせてもらっている以上はこの地域の魅力を子供たちや市外まで発信していくことは、地域への恩返しであり責務だと思っています。
私の家業は印刷業。紙への印刷ではなくプラスチックや金属の自動車部品、医療機器への印刷を行っています。昭和47年に父が創業し私は後継者です。かつては国内生産中心で引き合いもあり、朝から夜までひっきりなしに機械が動き従業員と活気にあふれていましたが、メーカーが海外生産にシフトした頃から機械稼働数も減少し、今では父と二人で切り盛りするようになりました。
同業者も事業縮小や後継者不足により廃業が多くなり、その業務の引継も増えてきました。年々この分野の職人が減少してきており、「ものづくり」技術の継承が難しくなっている現状をとても危惧しています。
国内の取り巻く現状から、小ロットでも高難度の仕事は、日本に残る「ものづくり」技術として、日々勉強し技術向上に努めなければならない、と感じています。
一方で、ユニフォーム、ノベルティの印刷など新しい分野にも事業を拡げ、「ものづくり」の技術力と新分野展開の両輪で邁進しています。
私が所属する中央市商工会青年部は、地域の特産である“トマト”で町を盛り上げようと、青年部で「まちおこしトマト計画」を立ち上げました。特産品開発事業で生まれた高級フルーツトマト「ポモディア」や「トマトうどん」の開発、「青春のトマト焼そば」の復刻と試行錯誤していくことで、地域に愛着が芽生え、この地域をもっと注目してもらいたい一心で取り組んできました。
その後も時代の流れを察知しご当地キャラクターブームに乗り、トマトのゆるキャラ「とまチュウ」を製作しました。今では市民に愛され、中央市コミュニティバスや市の広報物の印刷にも「とまチュウ」がデザインされています。
何代ものリーダーが交代するなか、長きにわたり「まちおこしトマト計画」を継承、推進してきました。今後も継続しながら、特産品に限らず、地域に根ざし、地域と良い関係が築ける活動に挑戦していきます。