INTERVIEW
究極のエコデザイン
長野県 関東ブロック
松澤 朋典
Tomonori Matsuzawa
長野県小谷村は日本でも有数の超豪雪地域。多くのスキー場と2500m級の山々が連なり、面積の約90%が森林。渓谷型の地形で谷底に国道と河川とJRが走っている。「敵に塩を送る」で有名な塩の道千国街道があり、春には塩の道祭りで賑わう。祖父から父、私と代々茅葺屋根の職人として北信流の流派を守り伝えている。
根っからの職人一家で育ち、兄は建築板金、私は茅葺きとの二刀流で、現在は地域の民家をはじめ全国の茅葺き屋根を守るために奮闘。地元で育まれた技術を、文化を、伝統を後世に残していきたい。
時代に逆らってはいるが、実は時代の最先端でもある。
茅葺き屋根は、ススキ、ヨシ、カリヤス等の植物で葺かれ、材料調達から全てが手作業ですが全て土に還るエコデザイン。建物にしても柱、梁、土壁等全て土になり、玉石が残るのみ。そして住み続けることによって200年以上保つことができる。木・土・草の文化。草原を維持することにもつながり、屋根を葺くこと、野焼きをする行為すべてが炭素の固定化につながる。そこに茅葺きがあるだけでコミュニティが生まれ、地域が「結」でつながっていく。地球を唯一汚さない建物といっても良いのでは。
北信流では葺替えは1代に1度きり。仕事は底なしに奥が深い。
村民全てが関わるほどの大イベント「塩の道祭り」青年部では毎年飛脚に扮して赤ふんで場内を盛り上げています。今となっては飛脚目当てに参加される方も。
また、B級グルメとして昔からモツ焼きが定着しており、青年部で「小谷モツ焼きそば」を発案。今では焼けば全てが売れる超人気商品に!
仕事を通じ、青年部活動を通じ、得たものを地域に還元し得た恩を送っていく事によって新たな風を起こす。守るものと変えるものを見極め、時代に合ったスタイルを選び地域を愛し、地域のスペシャリストとして青年部がそこに有り続けられたらと願う。