INTERVIEW
流れを受け入れ変化していく
島根県 中国・四国ブロック
三澤 将太
Shota Misawa
島根県奥出雲町は中国山地東部の斐伊川源流域に位置しており、広島県及び鳥取県との県境の町です。古来の先人たちは、この地を覆う良質な砂鉄と粘土、そして森の木々と川の水を使って「たたら」と呼ばれる製鉄技術を極めました。映画「もののけ姫」にも登場する、たたら場のモデルとなっており、ここでつくられた粗鉄が日本刀や刃物の元となる「鉧(けら)」となります。今日では奥出雲町が、日本で唯一これを生産し、全国の刀匠に供給しています。
またこの地は、神話の地としても古くから伝承があり、日本最古の歴史書『古事記』に記されているヤマタノオロチ伝説は、出雲平野を潤し宍道湖に注ぐ大河・斐伊川を表しており、その源流は、ここ奥出雲の地(船通山)にあります。ヤマタノオロチ退治のクライマックスに登場する草薙の剣は、天皇家の「三種の神器」のひとつとして代々受け継がれており、このことからも、古くからこの地が優れた製鉄技術を誇っていたことが分かります。
地域の至る所に神話ゆかりの地があり、この町にとって神話やたたら製鉄は、象徴であり、誇りでもあるといえます。
今年で38歳。この町で祖父母、父母、そして私と代々過ごしてきました。私は高校進学とともに実家を離れましたが、島根以外で居住したことは無く、生粋の島根県人です。家業である工務店にて仕事をするようになり、父や先輩方に教わりながら日々業務をこなしていましたが、時代に合わせて変えていかなければならない部分と、変えてはならない部分があると感じています。
そのバランスを見極めながら、目の前のお客様に最良の提案をしていきたいと考えています。
地域の工務店は、その地域の住宅の守り手です。
そこに居住する人がいる、居住する家がある限り、地域工務店の役目は決して無くなりません。
家のかかりつけ医として、手掛けた家を見守り続けて行くことが、弊社にできる地域貢献の一つだと思っています。
27歳で青年部に入部して、早10年が経ちました。入部したての頃は、単会の各事業に出たり、出なかったりと、正直煩わしく感じることもあり、ただなんとなく事業に参加していましたが、ある事をきっかけにそんな自分が少し変わったと感じています。
それは、ある事業を自分たちで発案し、手掛けたことで、喜んでくれる人や、楽しみに待ってくれている人がいることに気付いたことです。そしてそれが地域貢献の一角となる。大きな遣り甲斐と充実感の両方を感じることが出来た瞬間でした。
しかし各事業や地域の活性化は、ワンパワーでは決して出来ません。単会の仲間、県の仲間の協力がなくてはなりません。
この度、会長の職を仰せつかまりましたが、地元の仲間や県内の仲間の協力、そしてその仲間たちとの絆を大切にしながら、地域の為、自社事業の為、取り組んでいきたいと思っています。