INTERVIEW

かけがえのない人たちと、かけがえのない川口のために

新潟県 関東ブロック

喜多村 考志

Takashi Kitamura

川口地域の歴史と魅力を次世代に

 新潟県長岡市川口(旧川口町)は、新潟県のほぼ中央に位置し、日本一の大河『信濃川』と清流『魚野川』の合流地点にあり、歴史をさかのぼると国史跡である「荒屋遺跡」は1万3千年前の旧石器時代後期に遡ります。「荒屋型彫刻刀」を始め、細石刃が数万点出土していて、その他にも縄文土器や石器など数多くの遺跡も発見され、水と緑と歴史ある地域、それが川口地域です。
 川口地域の歴史を知れば知るほど、この縄文以前の昔よりこの地域を守り繋いでくれた先人たちの想いを次世代に繋げていくこと、そして商工業を始めこの地域を盛り上げていくことが私たちの使命だと考えています。

中越地震を乗り越えた、伝統の熟成醤油ラーメン

 ラーメンつり吉は1992年に父親が創業しました。
ラーメンつり吉の特徴は創業以来継ぎ足し続けている熟成醤油ラーメンです。継ぎ足し続け、熟成させることにより、醤油は豚や様々な食材の旨味を積み重ね、スープの色は黒く塩分が高そうに思えますが、食べてみると見た目ほどしょっぱくはなく、深みのある醤油ラーメンをご堪能いただけます。
 その歴史が途切れかけた時があります。2004年10月23日17時56分 わが町、川口地域を震源としたM6.8、最大震度7を記録した中越地震です。当時の店内は陶器類はすべて破損し、スープの寸胴もひっくり返り建物も全半壊で傾き、すべての食材が散乱している状況でした。大切に継ぎ足し続けた醤油の瓶も割れていて、一時は店の再開すら諦めたと言います。全てを失ったと思いながら店の片付けをしていた時、一升瓶が見つかりました。それは予備で準備しておいた醤油タレだったのです。この一本の一升瓶に入った醤油タレが残ってくれた事により、創業以来継ぎ足し続けた醤油タレを途切れさせることなく、守ることができました。
 また休業している間にお客様より再開を願う手紙をいくつかいただき、再度奮起して、店舗が傾きながらも2ヶ月後に再開させていただき今日に至ります。父親は今でもそのお手紙は“宝物”だと大切に保管しています。
 これからもラーメンつり吉伝統の熟成醬油ラーメンを守りつつ、新しい味にも挑戦し、どんな事があってもお客様から再開を願うお手紙がいただけるような店を目指して頑張ります。

子どもの声、それは町の元気のバロメーター

 ここ数年コロナ禍もあり、お祭りやイベントの出店も減り、子どもたちにとって寂しい風景が続きました。例年開催されている川口まつりでは、商工会青年部はチャーシューバーガーやお寿司屋さんのだし巻きバーガー、生ビール、ソフトドリンクといった飲食の中心に出店しておりました。制限のある出店を考えた末、子どもたちが喜ぶ事をやろうと、昨年は『くじ引き屋さん』を実施しました。1回100円、1~5等まであり、ハズレ無し。5等の商品でも110円の商品なので絶対に損はさせません。1等の商品は1,000円相当。くじを引いた方の中から抽選で2名に任天堂Switch Liteが当たる特別くじコーナーも設置し大盛り上がりでした。まだコロナ禍での開催でしたが、数年ぶりに子どもたちの活気ある声がお祭り広場に響き渡りました。
 川口地域が抱える問題は様々あります。コロナ禍だからではなく、先天的に抱える問題です。人口減少、地域の衰退。私たちは5年前からその問題に対して取り組んでまいりました。様々な検証の結果、「居住」と「賑わい創出」の2点に絞り、青年部だけではなく地域を巻き込んで問題をクリアし、元気な子どもの声を取り戻し、縄文以前の昔より続いてきた川口地域に少しでも以前のような活気を取り戻したいと思います。

事業所情報

商工会名
川口町商工会
企業名
株式会社つり吉
青年部員名
喜多村 考志
代表者名
喜多村 考志
企業業種
飲食業(ラーメン店)
設立年
2011年
従業員数
6名