INTERVIEW

限界からの一歩にかける

島根県 中国・四国ブロック

高橋 大輔

Daisuke Takahashi

波乱の20代を人生の糧として。

曽祖父、親父、そして私と三代に渡って麺づくりをしてきました。蕎麦、ラーメン、うどん、パスタ等の約300種類。麺づくりに関わったのは、好きだから、それだけの理由だったように思います。先代の時に工場を移転し、当時従業員は十数名いたと思います。働いて50年という古参の社員もいて、頼もしい限りです。
私は20歳の時にここへ戻ってきました。島根から出たい、誰もが抱くそういう感情に突き動かされるように東京の専門学校へ出たものの、気持ち的にしんどい時があり。山手線に乗っている時、全車両を島根ジャックした吊り広告を目にしました。その時感動して泣きそうになり、帰ろうと決意。母も経理をしていて大変そうだというのも分かっていましたから。
しかし当時中国にも会社があり、モンゴルへ行かされて蕎麦を育てて、天津で加工をしていたのですが、ビザの関係もあり行って帰ってしながら波乱が続きましたね。ある日、突然親父が社長を辞めると言い始めました。そして私は24歳で社長に就任。親父はというと、いつの間にか別会社を創っていたのには驚きました。

社員が社長を育てる。謙虚さが信頼を生む。

社長に就任し、何も知らない私に「僕らがいるから大丈夫だから。教えるから」と言ってくれた工場長や社員など、親父は本当にいい人材を残してくれたと思います。社員が社長を育ててくれて、良いバトンタッチができました。
商工会青年部には、23歳の頃、社長になる前に入りました。雲南市では部員は65人。県の副会長を経験し、その後会長になりました。全国の商工会青年部の中でも、雲南市加茂町は祭りの売上が高いところ。原価を切り詰め、システムをきちんと整えて売上を出す。これは先輩たちの時代に作ったやり方ですが、協賛金を集める事業所が少なくなっているから大変で、個人にお願いするしかない。どうお願いするかを考えた時、応援チケットを用意し、実質1,000円払うが、500円は食事を食べれて、残りの500円を祭りの寄付に。多くの一般の方の参加で、大成功をおさめることができました。

何でも言い合える、人を大切にする経営者に。

これからの商工会青年部をどうしていくか、という話をする時に、危ない時に危ないと言える関係を作りたい。だれにもカッコ悪いことは起こりうるし、そんな時に声を出せる関係にしていきたいと思います。
島根県の県青連の役員会がある時は、どんなものを売っていて、どんな売りがあるのか10分間スピーチをしています。一人ひとりの会社のことを真剣に考えることを役員会で話すようにしました。プレゼンをしないといけないから力がつきます。真剣に突っ込んだり、飲み会になっても悩んでいることを赤裸々に語ってくれるようになり、その時にこの取り組みを始めて良かったと思えました。迷っている時は聞いた方が早いし、繋げることもできます。単会同士で繋がってプラットホームとして機能すると良いですね。繋がることが大切だから。親父が人を大切にする経営者だったから尊敬しているし、そこだけは自分も守っていこうと思っています。会社も商工会青年部でも。限界と思ったところに、最後の最後に力を振り絞って一歩を出したら次に繋がる力になる気がします。

事業所情報

商工会名
島根県 雲南市商工会
企業名
株式会社出雲たかはし
青年部員名
高橋 大輔
代表者名
高橋 大輔
企業業種
食品製造業
設立年
1949年
従業員数
30名