INTERVIEW
伝統文化を理解し継承していく
神奈川県 関東ブロック
大矢 新一郎
Sinichiro Ooya
座間市は神奈川県の県央地域に位置する市で、市内の東には住宅地や工業団地、西は河川と田園風景と東西で大きく風景が変わります。かつては日産座間工場があり、自動車生産の一拠点として栄えていましたが、事業の縮小・撤退をうけ少しづつですが、工業地域から変化をしてきています。また、地下水に恵まれていることもあり、県内でも珍しく地下水を利用した上水道が整備されています。都心へのアクセスも比較的良く自然にも恵まれ、住みよい市として認知もされるようになってきました。そんな座間市において、代々畳を扱う家系に生まれた私は家業に関心を持ちつつも、少し距離をおいて過ごしていました。畳は好きだけど、何かが足りないという自問が常にどこかに潜んでいたからかもしれません。
そんな私が家業に専念すことになったきっかけが、「畳は好きだけど、自宅には必要ない」という言葉でした。この言葉に、私は衝撃をうけ、もしかすると畳がなくなってしまうのではと考えるようになり、家業を継ぐ決心ができました。大学卒業後、知識と技術を深めるために仕事と両立しながら3年間、専門学校に通い、卒業後も更なる技能習得のため日々学びながら畳の仕事に従事しています。仕事に従事して日々感じるのは、畳に対する風当たりが近年、厳しさを増していること。原因は畳のない生活スタイルの普及、修繕費用の高額化、手入れの難しさなど、畳へのマイナスイメージや誤解が主です。私は家業を継ぐにあたり、これらの不安を解消できるよう、ちゃんと説明し、安心して畳と共存できるよう提案とお手伝いをしていくと心がけています。和室に入ると「いぐさ」の良い香りが部屋中に広がり、心身とも落ち着いた気持になります。そんなとき、和室の必要性を感じます。和室・畳が持つ独特の空間が決してなくしてはいけないと思います。
畳業界ににおいても、現代の住空間にあわせた様々な畳が登場しています。従来の緑から、カラバリエーションを増やし、形も正方形や円形、い草ではない新素材の樹脂や和紙。柔道の畳を見れば誰もがきづくことでしょう。時代に合わせて変化することに抵抗はないといえば嘘になります。しかし根底には伝統文化をちゃんと理解し継承していくことが大前提と私は信じています。畳文化を次世代に残していくために畳が好き=畳ファンをひとりでも多く作っていきたいと思っております。青年部活動も同じことがいえると思います。設立当初からの伝統は守りつつも、新たな試み等に挑戦していくこと、展開していくことが地域の活性化につながると考えております。また、今後も、青年部活動を通じて様々なことを吸収し、地域事業や自社の発展に繋げていきたいと考えております。