INTERVIEW

未来のために今を楽しむ

埼玉県 関東ブロック

時枝 宏幸

Hiroyuki Tokieda

基地の町からよさこいの町に

1932年、東京ゴルフ倶楽部が移転されてきたタイミングと町政施行が同時期だったことから、当時の皇族であった倶楽部の名誉総裁、朝香宮鳩彦王の名前にちなんで朝霞町と名付けられ、1967年の市制施行により朝霞市となるが、その歴史の中には市内にあった日本陸軍施設が終戦後アメリカ軍の進駐によって接収され、約30年間は基地の町として歩んだ時代があります。交通の利便性や自然環境の豊かさ、都心に比べて地価が低い事から近年も人口微増傾向にある。毎年夏に鳴子踊りが町中を賑やかにする朝霞市民祭り「彩夏祭」では70万人の来場者が押し寄せるばかりではなく、3世代がよさこいを通じた交流を図り、通年した実行委員会運営の取り組みによって、市民がつくる市民祭りが地域愛を育んでいる。川越市で生まれ育った私が朝霞市民となったのは父が創業した会社の所在地であり、後継する覚悟を決めたときに将来は朝霞に住もうと決めていたから。

きっかけと転機は突然訪れる

しかしながら5人兄弟の末っ子で四男の私が前職から転身して後継するとは思いもしていなかった。決意したのは、父が友人の訃報などで背中を小さくしていた後ろ姿を見たときに自分に出来る親孝行に努めたいと感じたこと。文系の私にとって幼い頃から「鉄を硬くする仕事」だと聞かされていた父の生業は全くの未知の世界。それでも父は私の申し出を喜んでくれました。基礎知識と実務経験を得るため、すぐに長野県の同業で2年間の修行を経て入社。「和を伸ばして成長する」社名に籠められた創業時の想いは、社員の生活環境も大切にする経営を心掛け、同業他社では24時間稼働が主流の中で日勤のみの操業。社員を大切にし、社業発展と地域貢献活動に努める父の背中はあまりに大きく、もっと多くを学びたかったものの私が入社して5年目に急逝。大きな穴を埋めるため、東工大に2年間通い始めると同時に、父の葬儀に老若男女問わず多くの方々が参列してくれた恩返しと、経営者として未熟な自分を奮い立たせる思いで商工会活動に取り組みました。

未来のために今を楽しむ

青年部活動においては異業種の集まりではあるものの経営者だからこそ分かち合える苦悩や価値観を共有しながら、成長の機会をこれほど多く与えられ、「商工会青年部員である」という、たったそれだけの共通点で仲間意識が高く、OBの先輩諸兄からも学ばせていただく繋がりが得られる。積極的に取り組むことで無限の可能性に満ちている。とは言え必ずしも全員が成功者ではない。それでも廃業の危機に立たされている仲間の声からも多くの学びを得ることが出来る。そしてイノベーションを起こした仲間の声には多くの刺激を受ける。自らの経営に参考になる良い事例も悪い事例もある。意識的には手本にするというよりは見本として吸収できる機会が多い。また、それぞれの分野のスペシャリストが集う青年部が想像力と行動力を活かせば届きそうにない高い壁にも手がかけられる。そんなワクワクする瞬間を仲間と共感しながら通年したPDCAサイクルを回して未来のための今をこれからも楽しみたい。

事業所情報

商工会名
朝霞市商工会
企業名
株式会社伸和熱処理
青年部員名
時枝宏幸
代表者名
時枝宏幸
企業業種
金属熱処理
設立年
1984年(昭和59年)
従業員数
39名